パーフリングの製作

下田裕一

基本的に私は過去の歴史を紐解いたり、300年前の製法を~などとはあまり考えていません。
逆に、今のような精密測定具等が無くてもあの製作レベルの楽器が作れたのだから、せめて見た目くらいは同等の物が作りたい、
作れるはずと思っています。
今回のパーフリング製作も、先述のように特別の素材や道具がなくても作れるはずだとの信念から出来上がったレシピですので、
300年前にイタリアでストラディヴァリさん達がこうやって作っていたか?は解りません。

パーフリングの製作

元々は分数楽器を製作するにあたり、フルサイズの楽器に使用するパーフリングではバランスがおかしいのでは?
と思った事がきっかけで、自分でパーフリングを製作する事を思い立ちました。
実際にはあまり細い(薄い?)パーフリングではパーフリング自体の製作も困難になりますし、
それを使用しての作業は困難を極めると思われます。実際、私が製作した時も、
既製のパーフリングの黒い部分を少々削り薄くし、叩いて白の部分を潰して使用しました。

材料

梨、くるみ、ポプラなどが使用されると聞きます。私は今回は洋梨材を用いました。
少し赤味があるので、薄いニスの色で製作される場合は多少目立つかもしれません。

道具

大きめのカンナ、耐熱ガラス容器、ゲンノショウコ末、酢酸鉄水溶液、木工用接着剤、
Fクランプ数個、刷毛、パーフリングカッター、毛引き、など

製作方法

1. 大型のカンナを使用して、厚さ0.3mm(作りたいパーフリングによって可変)2枚、
0.6mm厚のシート1枚を削りだします。0.6mmのスライス片を作るのは少々困難なので、
のこぎりで2mm厚程度にスライスし、カンナやスクレーパーで既定の厚みに持って行きました。写真1







2. 0.3mmのカンナ屑を黒く染めます。
今回は草木染の方法で、ゲンノショウコを用いました。ゲンノショウコは河原などで採取出来ますし、
止瀉薬として薬局等で販売している場合もあります。採取したゲンノショウコは乾燥させて使用します。

ゲンノショウコを濃く煎じ、茶色のタンニン水溶液を作り、その液体でカンナ屑を煮ます。
ひと煮立ちさせたらそのまま常温になるまで放置し、タンニンを含ませます。
取り出したら水洗いせずそのまま軽く水分を拭き取り、乾かします。

酢酸鉄水溶液にカンナ屑を入れ、ひと煮立ちさせ、常温になるまで放置します。
タンニンと鉄が徐々に反応して黒く染まります。今度はよく水洗いして乾燥させます。写真2~3







3. 黒-白-黒のサンドイッチ状にします。
まず黒0.3mmのカンナ屑はカールしていると思うので、これに普通のアイロンを掛けて伸ばします。写真4







白0.6mmの片側に、少し水で薄めた木工用接着剤(酢酸エマルジョン剤)をたっぷりまんべんなく塗布します。
そこへ黒0.3mmのカンナ屑を貼り付けます。水分を吸ってカンナ屑がカールしてきますので、
スポンジ等で張り付けた上から水拭きします。はみ出した接着剤を同時に拭き取ります。
白0.6mmに塗布した接着剤をカンナ屑の方へ浸透させる効果も狙っていますが、カンナ屑へ直接接着剤を塗布はしなでください。

ひっくり返して反対側も同じ作業を行います。

まだ濡れている状態で、パーフリングより少し大きい平らな二枚の木の板に挟んでクランプで締め込みます。
24時間ほど放置します。先の作業で、カンナ屑の方にも接着剤を塗布すると、
この時点で挟んだ材木に接着剤が染み出して、外れなくなります。

24時間放置したらクランプを外し、板を取ります。この時、材木に張り付いて取りにくくなっているので、
そっとパレットナイフのような物で剥がしていきます。写真5







4. パーフリングの幅に切り出します。
パーフリングカッターや毛引きを使って両側から毛を引き、厚さ2mm程に切り出します。
毛引きだけで切れない場合、ナイフ等で深く切り込みを入れて折り取ります。写真6.7

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