第7回 佐藤 康夫さん

今回ご紹介する先輩はVSJの初代会長、佐藤康夫さんです。
2001年、日本弦楽器製作者協会の私たち準会員が存続の危機にあった時、佐藤さんは私たちの代表となって、平和的に分離、独立させるために尽力され、初代会長として当会を一人立ちさせてくれた方です。
佐藤さんが バイオリンと始めて触れ合ったのは幼少の頃に蓄音機で聞いたエルマンのトロイメライ。高校生のときにお父様に鈴木バイオリンを買ってもらったが中断してしまう。社会人になって再び仲間とと弦楽合奏をはじめるが、それが縁で行方不明になっていた鈴木バイオリンと再会する。そして修理のため松岡順治氏と運命的な出会いをすることになったのである。
バイオリンを作り始めたのは40歳の頃。全ての精力を製作一筋につぎ込んだ。当時は情報も少なく、松岡氏の話しとヘロン・アレンの本が頼り、技術は自分で盗むものという職人気質の時代で、先輩の話に耳をそば立て、楽器を穴の開くほど見て回った。近所のお宅にDel Gesuがあるらしいことを聞きつけて弾かせてもらいに行ったり、デパートなどの展示会を見つけては、頼み込んでStrad やDel Gesuを弾かせてもらった。ニスを探して電話帳を頼りに江東区界隈をさまよい歩き、麒麟血を求めて漢方薬店を訪ね、カテキュウは織物の染料店で見つけた。とにかくホルベイン社を訪ねてもマスチックの名前すら知らないという時代だった。

佐藤さんの楽器作りは上述のように、楽器を良く見て、実際に弾くことから始まっています。日本弦楽器製作者協会の準会員となり、1990年に手工弦楽器展にて協会賞を受賞されました。
「バイオリンは基本的には音楽を奏でる道具ですから、ちゃんとした音が出なければなりません。しかしその上にきっちりした製作技術と美的要素が必要だと思います。良い楽器は必ず何か美を感じさせます。またその様な楽器は音もしっかりと出ていて、完璧な楽器はオーラすら感じさせます。表板、裏板などのアーチングを見れば、その楽器がどのような音が出るか、おおよその想像ができるものです。」とおっしゃっていました。
佐藤さんは長年製作をされていますが、自分の楽器には色々な欠陥が目に付き、未だに満足できる作品がないとのことで、現在も謙虚に製作に取り組まれています。

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